文系と理系の交差点

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NAIST合格体験記

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2020/9/12 加筆修正

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2018年7月入試を突破し、NAIST入学を果たしました。
NAIST奈良先端科学技術大学院大学(Nara Institute of Science and Technology)
入試区分:先端科学技術研究科 情報領域

(とにかく名称が長い、、、)

 

私は文系出身(大学時:文学部)かつ社会人経験者という経歴で、
多少特殊だとは思いますが、現在NAISTで学生生活を送っています。

私も受験期に先輩方の合格体験記にお世話になったので、
これから受験を考えていらっしゃる方々の参考になればと思い、自分の経験を書き記します。

 

NAIST受験のきっかけ

 

まず前提として、自分は「俗にいう」SEとしてIT系の会社に勤めていました。
2016年入社なので、丸々3年間は働いていたことになります。

そして少し遡って振り返って見ると、

新卒での就職活動時はIT系を志望しておらず、ゲーム会社などをメインに考えていました。
プランナーとして受験することが多かったですが、結果は良くありませんでした。

なんとか自分なりに考えた結果、プログラマとしてなら活躍できるかもしれない、
と思い立ち、IT系就職を決めたわけです。
(こうして見ると、自分がいかに優柔不断かがよくわかります。)

そんなこんなでIT系会社員として働いていると、
やはり最新の技術に興味を持つものです。

そして時は人工知能ブーム真っ只中で、機械学習関連のエンジニア達がもてはやされていました。
私もこれに飛びつき、AIエンジニアになりたい、と思ったのです。
(やはり単純……)
そして転職エージェントに相談し、先ずは勉強してから転職活動しようと決断しました。
(なりたいの気持ちだけでは無理です!実績や努力を見せないと!)

 

とりあえず、勉強する内容は一番興味のある機械翻訳にしました。
全部の言語をマスターできるシステム構築って素晴らしいと思いませんか?
国とか民族とか関係なく全ての人の言っていることが理解でき、
全ての人とコミュニケーションが自由に取れる時代。

そんな時代を夢見て自然言語処理を中心に勉強する方針が決定しました。

※目指していた職種としては、自然言語処理関連の研究開発職になります。

 

そんなこんなで約6ヶ月間、働きながら月80〜100時間ほど勉強した後、

(自分でもよくやってたな、と思う)

転職活動を開始しました。

※ちなみにこの時期だけで参考書は20冊くらいやった気がする(数学とかの基本も含めて)。

 

結果は御察しの通り、

 

うまくいきませんでした...

 

原因としては、ポートフォリオ作成までたどり着けなかったこと、
数学的素養(統計や線形代数微積、最適化などの知識)や
ハード面の知識(GPUFPGAなどの知識)が不足していたこと、
実務経験や研究経験がなかったことが挙げられます。

 

うん。ごもっともです。

 

※現状、自然言語処理に関する仕事をしている人は、修士卒以上の人がほとんどだと思います。
なんなら博士卒の人の割合の方が多い気がします。

 

書類で落とされることが多かったですが(というかほとんどだった)、

(大変ありがたいことに、)私に会ってくださった企業の方から

「今の状態であれば難しいですが、大学院に行ったら、また応募してくださいね!」

と言ってくださった方がいて、私の大学院への挑戦が決まったわけです。

 

そんなこんなでどんな大学院(研究室)があるのかということからを調べて,
自然言語処理が学べる研究室
↑大変お世話になりました。
実際に大学の先生方に連絡して、ご相談させていただいた結果、
NAIST受験が決定したわけです。

 

余談ですが、NAISTはその他大学院と比べて学部がない分、文系出身者に対する配慮があります。
例えば、数学や統計学の基礎講座が開かれています(シラバスに掲載されていたはず)。

文系出身者も Welcome !!

 

 

受験対策

NAIST情報科学区分)では、数学・英語・小論文・面接の4つの試験が課されます。

全体的にムラなく勉強することを強くお勧めします。

※どれか1つの試験で足を引っ張ってしまった場合に、他の試験で補うためです。

 

具体的な対策内容はこれから記述します。

 

数学

出題範囲は「代数・解析など」とされています、

要するに線形代数微分積分の問題が出題されます。

大学で全く数学に触れていなかったため、1から勉強しました。

 

 

線形代数> 

文系出身ということもあり、取っ掛かりがなさ過ぎたので、

読んで理解できるものを最初に手に取りました。

 

石井 俊全『まずはこの一冊から 意味がわかる線形代数』ベレ出版

 

これ(↑)はかなりお勧めです。文系の人でも理解できると思います。

1~2週間程度で読めます。2回は読みました。

次に簡単な問題演習に取り組みます。


小寺 平治『超入門 線形代数講談社 ←絶版かもしれません(中古で買いました)

 

最後にこの参考書と向き合いました。

理系の人はこのレベルの参考書が解けるレベルに合わせれば大丈夫だと思います。

石井 俊全『1冊でマスター 大学の線形代数技術評論社

3、4回は取り組んだ気がします。 

 

微分積分

やはり最初は読んで理解を深めます。

これ(↓)はかなり分かりやすいです。1週間程度で読めます。

永野 裕之『ふたたびの微分積分すばる舎

 

そして次に簡単な問題演習です。

小寺 平治『超入門 微分積分講談社 ←絶版かもしれません(中古で買いました)

程よいレベル間で、市販の参考書は難しいと感じる方向けです。

 

最後に入試を意識した問題演習をしました。3、4回はやり直しました。

石井 俊全『1冊でマスター 大学の微分積分技術評論社

 

微分方程式

試験2週間前に微分方程式微分積分は異なる分野だということが判明し、

焦りながら勉強しました。この前半部分を徹底して勉強しました。

石村 園子『やさしく学べる微分方程式共立出版

 

英語

TOEICの事前提出制なので、4月5月にそれぞれ受験しました。

何とか700点代後半を取得でき、その点数を提出しました。

100点くらいは簡単に上がるので、めげずに受験しましょう。

 

使用した参考書は以下の通りです。

 

TOEIC TEST 特急シリーズ>

TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ

TOEIC L&R TEST パート1・2特急 難化対策ドリル

TOEIC L&R TEST パート3・4特急 実力養成ドリル

・1駅1題 TOEIC L&R TEST 読解特急

・1駅1題 新TOEIC TEST文法特急

 

<問題演習>

TOEIC L&Rテスト レベル別問題集 730点突破 (東進ブックス レベル別問題集)

 

<模試>

TOEIC(R)テスト 新形式精選模試 リーディング

TOEICテスト公式問題集 新形式問題対応編

 

通勤や空き時間に特急シリーズをやり、家で問題演習、

本番前に模試をする流れで勉強しました。

正月明けから毎日こつこつ進め、4月、5月はほとんど英語に時間を割きました。

 

小論文

前年にオンライン講座でDeepLearingや自然言語処理を行っていたため、

どのような処理が行われているのかという理解はありました。

 

しかし研究に関しては全くの無知だったため、必死で勉強しました。

取り敢えず以下の本で基礎を学びます。

黒橋 禎夫『自然言語処理放送大学教育振興会

 

徐々に参考にする論文・書籍も読み始め、実際に書いては推敲を繰り返します。

論文は要旨(Abstract)をざっと読んで、関係ありそうなやつを精読しました。

おそらく要旨(Abstract)だけ読んだものも含めると、50以上100未満な気がします。

 

草稿が書けたら添削して遂行するを繰り返します。

ある程度自分で遂行できたら、実際に他の人に見てもらいます。

 

私の場合はオープンキャンパスの時に知り合ったNAIST内部生の方に依頼しました。

大変勉強になりました。添削指導は必ず受けた方がよいと思います。

 

社会人ということもあって、研究室訪問はオープンキャンパスのときにしました。

何かしらのヒントは得られるはずです。オープンキャンパスには参加しましょう。

そして研究室の雰囲気なども自分に合うか確認しましょう!

これは意外に重要なことです。

 

面接

 小論文のプレゼンがあるため、かまずに言えるように練習しました。

 小論文の要約をする感じです。

 

聴かれそうな質問をリストアップして、回答を用意する作業もしました。

あとは正直に受け答えするのみです。

 

受験当日

詳細はどの程度書いていいかわからないので、割愛します。

とにかく必死でした。

 

結果として合格をいただくことができ、関係者の方々に大変感謝しています。

何はともあれ、絶対に合格して研究したいという強い気持ちが一番大切です。

その気持ちがあれば、多くの方は手助け(アドバイス)してくれますし、なんとかなるものです。

 

娯楽の時間など失うことも多くありましたが、

自分のやりたいことをやることは一番大切です。

(今とても充実しています)

来年からお会いすることになる方々、よろしくお願いします!

 

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入学初年度夏に書いた感想です。

よろしければ、こちらもご参照ください。

cardinal-moon.hatenablog.com