今回は逆三角関数の微分についてです.
そもそも逆三角関数とはなんぞや,というところから解説してきます.
目次
逆関数
逆関数と三角関数が合わさったものが逆三角関数です.
三角関数はご存知の通り, や , を使った関数のことです.
では逆関数の方を考えてみましょう.簡単な例を挙げて説明します.
この式の逆関数は次のように定義されます.
そうです. と を入れ替えてできた関数が逆関数です.
正確に言うと, を について解き となった時の関数 が逆関数ということです.
上の式も, について解くと,
となります.これが逆関数です.
逆関数は に対して線対称になります.
図示するとこんな感じです.
点A , B が に関して対称的であることが見て取れます.
これ以外に覚えておいた方が良いこととして, となります.
どういうことかというと, に を代入したとしましょう.得られる の値は です.
これを逆関数 に代入すると, となり,最初に代入した と同じ値が得られます.
これは逆関数の定義を理解すれば当然のことと言えます.覚えておきましょう.
逆三角関数の導入
さて,前置きが長くなってしまいましたが,三角関数の逆関数について考えていきます.
まずは の逆関数を見ていきましょう.
定義に従って図示すると下図のようになります.
の取りうる値が (〜 までの閉区間 ) なので, の範囲は狭くなります.
同様に , についても図で見てみましょう.
どうでしょう.イメージをつかんでいただけたでしょうか.
こんな関数もあるんだ,という理解で大丈夫です.
覚えておいた方が良いこととして,逆三角関数は異なる表記方法があります.
のように,arc〇〇のような表記方法をする場合と,
の表記を取る場合があります.これだけは覚えておいてください.
ちなみに,どちらもアーク〇〇(例.アークサインエックス)のように発音します.
では前置きはこの辺にして,三角関数の微分に入っていきましょう!
逆三角関数の微分
はじめに逆関数の導関数の求め方を解説します.
の逆関数を と置くと,
なので,両辺を微分して,
となります(合成関数の微分を使用しています).よって,
となります!なんと単純な!
上の式と三角関数の微分で得た以下の公式を利用して,式変形していきます.
となります.ややこしいですが, の関数 にあたる部分が の逆関数, に代入されているのが という関係になっています.より一般的に書き直したいので, と置くと,
よって求めたい導関数は,
となります.
続いて同様に の逆関数の微分についても見ていきましょう.
としてまとめて,
よって求めたい導関数は,
としてまとめて,
よって求める導関数は,
以上です.お疲れ様でした!