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逆三角関数の微分

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今回は逆三角関数微分についてです.
そもそも逆三角関数とはなんぞや,というところから解説してきます.

 

目次

 

逆関数

逆関数三角関数が合わさったものが逆三角関数です.
三角関数はご存知の通り,sin{θ}cos{θ}tan{θ} を使った関数のことです.
では逆関数の方を考えてみましょう.簡単な例を挙げて説明します.

y = 2x

この式の逆関数は次のように定義されます.

x = 2y

そうです. xy を入れ替えてできた関数が逆関数です.
正確に言うと,y=f(x) を x について解き x=g(y) となった時の関数 g逆関数ということです.
上の式も,y について解くと,

y=\frac{1}{2}x

となります.これが逆関数です.
逆関数y=x に対して線対称になります.
図示するとこんな感じです.

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点A , B が y=x に関して対称的であることが見て取れます.

これ以外に覚えておいた方が良いこととして,x=g(f(x)) となります.
どういうことかというと,y=2xx=4 を代入したとしましょう.得られる y の値は 8 です.
これを逆関数 y=1/2x に代入すると,y=4 となり,最初に代入した x=4 と同じ値が得られます.

これは逆関数の定義を理解すれば当然のことと言えます.覚えておきましょう.

三角関数の導入

さて,前置きが長くなってしまいましたが,三角関数逆関数について考えていきます.
まずは sin{x}逆関数を見ていきましょう.
定義に従って図示すると下図のようになります.

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f(x) の取りうる値が [-1, 1] (-11 までの閉区間 ) なので,g(x) の範囲は狭くなります.
同様に cos{x} , tan{x} についても図で見てみましょう.

 

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どうでしょう.イメージをつかんでいただけたでしょうか.

こんな関数もあるんだ,という理解で大丈夫です.

 

覚えておいた方が良いこととして,逆三角関数は異なる表記方法があります.

  • \arcsin{x}
  • \arccos{x}
  • \arctan{x}

のように,arc〇〇のような表記方法をする場合と,

  • \sin^{-1}{x}
  • \cos^{-1}{x}
  • \tan^{-1}{x}

の表記を取る場合があります.これだけは覚えておいてください.
ちなみに,どちらもアーク〇〇(例.アークサインエックス)のように発音します.

では前置きはこの辺にして,三角関数微分に入っていきましょう!

三角関数微分

はじめに逆関数導関数の求め方を解説します.
f(x)逆関数g(x) と置くと,

g(f(x))=x

なので,両辺を微分して,

g'(f(x))f'(x)=1

となります(合成関数の微分を使用しています).よって,

g'(f(x))=\frac{1}{f'(x)}

となります!なんと単純な!
上の式と三角関数微分で得た以下の公式を利用して,式変形していきます.

(\sin{x})' = \cos{x}

(\cos{x})' = -\sin{x}

(\tan{x})'=\frac{1}{\cos^2{x}}

まず sin{x}逆関数微分から見ていきましょう.

(\sin^{-1})'(\sin{x})=\frac{1}{(\sin{x})'}

=\frac{1}{\cos{x}}

=\frac{1}{\sqrt{1-\sin^2{x}}}

となります.ややこしいですが,g(x) の関数 g にあたる部分が sin{x}逆関数x に代入されているのが sin{x} という関係になっています.より一般的に書き直したいので,sin{x} = X と置くと,

(\sin^{-1}{X})'=\frac{1}{1-X^2}

よって求めたい導関数は,

(\sin^{-1}{x})'=\frac{1}{1-x^2}

となります.
続いて同様に cos{x}逆関数微分についても見ていきましょう.

(\cos^{-1})'(\cos{x})=\frac{1}{(\cos{x})'}

=-\frac{1}{\sin{x}}

=-\frac{1}{\sqrt{1-\cos^2{x}}}

cos{x} = X としてまとめて,

(\cos^{-1}{X})'=-\frac{1}{1-X^2}

よって求めたい導関数は,

(\cos^{-1}{x})'=-\frac{1}{1-x^2}

最後に tan{x}逆関数微分についても見ていきましょう.

(\tan^{-1})'(\tan{x})=\frac{1}{(\tan{x})'}

=\cos^2{x}

=-\frac{1}{1+(\tan{x})^2}

tan{x} = X としてまとめて,

(\tan^{-1}{X})'=\frac{1}{1+X^2}

よって求める導関数は,

(\tan^{-1}{x})'=\frac{1}{1+x^2}

以上です.お疲れ様でした!