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三角関数の微分

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今回は三角関数微分について解説していきます.

現在のDeepLearningのアルゴリズムにも採用されているものもあります.覚えていない人は頑張って覚えましょう.

エンジニアの方は,思い出すために使っていただけたら嬉しいです.

 

目次

 

三角関数の基本極限

tan{θ}sin{θ}cos{θ} を用いて表現できるため,sin{θ}cos{θ}導関数を求めることが基本になります.直接これらを導くことはできないため,先ずは次の式を値求めることから始めます.

\lim_{ θ \to 0 } \frac{\sinθ}{θ}

\lim_{ θ \to 0 } \frac{1-\cosθ}{θ^2}


ここで,原点Oを基準とする単位円(半径1の円)上の点A,Bを次のように取り,単位円に内接する直角三角形と外接する直角三角形を考えます.角BPOと角QAOはそれぞれ直角です.

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扇型OABに着目します.扇型OABの面積は次のように表せます(面積をSとする).

S=\frac{1}{2}(OA)^2θ

S=\frac{1}{2}θ

 ※ θは単位:ラジアンを示しています.360℃=2π (ラジアン)です.

面積に着目すると,△OBPの面積は下記のように表せます(△OBP=Tとする).

OP=OB\cdot\cosθ=\cosθ

BP=OB\cdot\sinθ=\sinθ

T=\frac{1}{2}\cdot OP\cdot BP=\frac{1}{2}\cosθ\sinθ

△OAQも同様に(△OAQ=Uとする),

OA=1

QA=OA\cdot \tanθ=\tanθ

U=\frac{1}{2}\cdot OA\cdot QA=\frac{1}{2}\tanθ

 

S,T,Uの大小関係は図より,

T(△OBP) ≦ S(扇型OAB) ≦ U(△OAQ) となる.よって,

\frac{1}{2}\cosθ\sinθ \leq \frac{1}{2}θ \leq \frac{1}{2}\tanθ

\cosθ\sinθ \leq θ \leq \tanθ

\cosθ \leq \frac{θ}{\sinθ}  \leq \frac{1}{\cosθ}

  

θを0に近づけた時の極限を考えてみる.

\lim_{ θ \to 0 } cosθ=1

\lim_{ θ \to 0 } \frac{1}{\cosθ}=1

これらを利用して,はさみうちの原理より,

\lim_{ θ \to 0 } cosθ \leq \lim_{ θ \to 0 } \frac{θ}{\sinθ}  \leq \lim_{ θ \to 0 }\frac{1}{\cosθ}

1 \leq \lim_{ θ \to 0 } \frac{θ}{\sinθ}  \leq 1

 \lim_{ θ \to 0 } \frac{θ}{\sinθ}   = 1

  

分母分子を入れ替えても同様に,

  

 \lim_{ θ \to 0 } \frac{\sinθ}{θ}   = 1

となります!1つ目の証明が完了しました!2つ目の式は式変形と今回得た式を利用して証明していきます.

\lim_{ θ \to 0 } \frac{1-\cosθ}{θ^2}=\lim_{ θ \to 0 } \frac{1-\cosθ}{θ^2}\cdot \frac{1+\cosθ}{1+\cosθ}

=\lim_{ θ \to 0 } \frac{1-\cos^2θ}{θ^2}\cdot \frac{1}{1+\cosθ}

=\lim_{ θ \to 0 }\{ (\frac{\sinθ}{θ})^2\cdot \frac{1}{1+\cosθ}\}

=\frac{1}{2}

目標だった下記の式を求めることができました!
ようやく三角関数微分に本格的に入っていくことができます.


\lim_{ θ \to 0 } \frac{\sinθ}{θ}

\lim_{ θ \to 0 } \frac{1-\cosθ}{θ^2}

三角関数微分

前述の通り,まず sin x , cos x導関数を求めていきます.

(\sin{x})'=\lim_{ h \to 0 } \frac{\sin{x+h}-\sin{x}}{h}

この式を変形するために,加法定理を使用します.加法定理は次のような定理です.

\sin{(α+β)}=\sin{α}\cos{β}+\cos{α}\sin{β}

これを使って,

\lim_{ h \to 0 } \frac{\sin{x+h}-\sin{x}}{h}=\lim_{ h \to 0 } \frac{\sin{x}\cos{h}+\cos{x}\sin{h}-\sin{x}}{h}

=\lim_{ h \to 0 } \frac{\cos{x}\sin{h}-\sin{x}(1-\cos{h})}{h}

=\lim_{ h \to 0 } (\cos{x}\frac{\sinh}{h}-\sin{x}\frac{(1-\cos{h}}{h^2}\cdot h)

=\cos{x}\cdot{1}-\sin{x}\cdot{\frac{1}{2}}\cdot{0}

=\cos{x}

求めたい式の値が求まりました!まとめると,

(\sin{x})'=\cos{x}

となります.この式に合成関数の微分を適用すると,cosx導関数も求めることができます.
(合成関数の微分を忘れた方はこちらを参照ください)

(\cos{x})'={\sin{(\frac{π}{2}-x)}}'

=\cos{(\frac{π}{2}-x)}\cdot (\frac{π}{2}-x)'

=\sin{x}\cdot (-1)

=-\sin{x}

まとめると,

(\cos{x})'=-\sin{x}

です.続けて tanx導関数も見ていきましょう.

(\tan{x})'= (\frac{\sin{x}}{\cos{x}})'

=\frac{(\sin{x})'\cos{x}-\sin{x}(\cos{x})'}{(cos{x})^2}

=\frac{\cos^2{x}+\sin^2{x}}{cos^2{x}}

=\frac{1}{\cos^2{x}}

意外と簡潔に終われましたね.導出完了です.お疲れ様でした.