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微分 高校数学のおさらい

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微分積分で必要な知識はいくらかありますが,先ずは高校数学のおさらいから始めたいと思います.これらの基本的な知識は現在の人工知能に使われているアルゴリズム理解にとって必要不可欠な存在です.中で何が行われているかを知りたい人は,ゆっくり学んでいきましょう.

目次

 

微分

微分と聞いて,接線の事を思い浮かべる人が多いと思います.これは微分係数が平均変化率の極限で求まることに起因するものです.

平均変化率とは…

x が変化した時に y がどれほど変化するか」

ということです.

xa から b ( a \lt b ) に変化したとします.y = f(x) とすると,平均変化率は次のように表せます.

x=\frac{f(b) - f(a)}{b - a}

 

図で理解すると,AとBを結んだ線の傾きということになります.

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この状態で,極限まで ba  に近づけた時,微分係数が求まります.微分係数は次の式で与えられます.

f'(a) = \lim_{ b \to a } \frac{f(b) - f(a)}{b - a}

f'(a) = \lim_{ h \to 0 } \frac{f(a + h) - f(a)}{h}


※どちらも同じ意味です.

図で理解すると,次のようになります.

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⬇️

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⬇️

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接線になりました!! まとめると,

f'(x) = \lim_{ h \to 0 } \frac{f(x + h) - f(a)}{h}

となります!

n次関数の微分

さて,一般的な表記が求まったところで,実際の関数 f(x) に当てはめて考えてみましょう.

f(x) = c  (c は定数)  の時,上記の式の分子は必ず0になります.この事を利用して,次の式が導けます.

f(x) = c ⇨ f'(x) = 0


では xn 次関数の場合について解いていきましょう.

f(x) = x^nのとき

f'(x) = \lim_{ h \to 0 } \frac{f(x + h) - f(x)}{h}

f'(x) = \lim_{ h \to 0 } \frac{(x + h)^n - x^n}{h}

二項定理より,

(x + h)^n = {}_n \mathrm{ C }_0 x^n+{}_n \mathrm{ C }_1 x^{n-1}h + {}_n \mathrm{ C }_2 x^{n-2} h^2+\cdots +{}_n \mathrm{ C }_n h^n


となる事を利用して,

f'(x) = \lim_{ h \to 0 } \frac{(x + h)^n - x^n}{h}

= \lim_{ h \to 0 } \frac{{}_n \mathrm{ C }_0 x^n+{}_n \mathrm{ C }_1 x^{n-1}h + {}_n \mathrm{ C }_2 x^{n-2} h^2+\cdots +{}_n \mathrm{ C }_n h^n-x^n}{h}

= \lim_{ h \to 0 } \frac{x^n+nx^{n-1}h+\frac{n(n-1)}{2}\cdot x^{n-2}h^2+\cdots \cdots+h^n-x^n}{h}

= \lim_{ h \to 0 } \{{nx^{n-1}+\frac{n(n-1)}{2}\cdot a^{n-2}h^1+\cdots \cdots+h^{n-1}}\}

= nx^{n-1}

よって,

 (x^n)' = nx^{n-1}


有名な公式が求まりました!

合成関数の微分

少しだけ発展的な内容になります.次のような関数を考えます.

y = g(f(x))


つまり,g(x)x 部分が他の関数 f(x) で表現できるような関数( f(x)g(x) の合成関数)の微分を考えます.

\lim_{ h \to 0 } \frac{g(f(x+h))-g(f(x))}{h}

= \lim_{ h \to 0 } \{\frac{g(f(x+h))-g(f(x))}{f(x+h)-f(x)}\cdot\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\}

=\lim_{ h \to 0 } \frac{g(f(x+h))-g(f(x))}{f(x+h)-f(x)}\cdot\lim_{ h \to 0 } \frac{f(x+h)-f(x)}{h}

= g'(f(x))f'(x)


まとめると

g(f(x))' = g'(f(x))f'(x)


となります.意外と便利な公式です.違う表記を取ると,次のようにも表現できます.

\frac{dy}{dx} = \frac{dy}{du}\cdot\frac{du}{dx}


du の部分が f(x) に相当する部分です.実際に計算してみましょう.

y = (x + 1)^2 のとき,u = x + 1 とすると

y = u^2

y' = 2u\cdot {u'}

y' = 2(x + 1)\cdot{(x + 1)'}

y' = 2(x + 1)

となります.便利さがわかっていただけたでしょうか.

積と商の微分

まず積の微分を考えます.具体的には次のような関数の微分を考えます.

p(x)=f(x)g(x)

微分すると,

\lim_{ h \to 0 } \frac{p(x+h)-p(x)}{h}

=\lim_{ h \to 0 } \frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)}{h}

=\lim_{ h \to 0 } \frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x+h)+f(x)g(x+h)-f(x)g(x)}{h}

=\lim_{ h \to 0 } \frac{\{f(x+h)-f(x)\}g(x+h)+f(x)\{g(x+h)-g(x)\}}{h}

=\lim_{ h \to 0 } \{\frac{f(x+h)-f(x)}{h}g(x+h)+f(x)\frac{g(x+h)-g(x)}{h}\}

= f'(x)g(x)+f(x)g'(x)

これが積の公式です.続いて商の微分(分数関数の微分)です.

r(x)=\frac{f(x)}{g(x)}とおくと,

f(x)=r(x)g(x)

f(x)導関数微分した後の関数)を求めると,積の公式を使って

f'(x)=r'(x)g(x)-r(x)g'(x)

となります.r'(x) について解くと,

r'(x)=\frac{f'(x)-r(x)g'(x)}{g(x)}

\{\frac{f(x)}{g(x)}\}'=\frac{f'(x)-\frac{f(x)}{g(x)}g'(x)}{g(x)}

=\frac{f'(x)g(x)-f'(x)g(x)}{\{g(x)\}^2}

まとめると

\{f(x)g(x)\}' = f'(x)g(x)+f(x)g'(x)

\{\frac{f(x)}{g(x)}\}'=\frac{f'(x)g(x)-f'(x)g(x)}{\{g(x)\}^2}

これにて完了です.お疲れ様でした.

思い出すのに苦労しますが,導出できるようになれば確認できます.覚えておきましょう!